【就活生必見】「御社でクラウドやりたいです」て適当に言ってませんか?IT工程と企業へのアプローチ方法を解説。
どうも、ITコンサルタントのShoheiです。
今日は前回説明したクラウドを例に、就職活動や営業活動に寄った目線で解説していきたいと思います。
(前回記事: クラウドとは? 食べ物に例えて説明しよう。 - IT社員3人組によるリレーブログ)
絶対に言ってはいけない「クラウドやりたいです」
早速ですが、就活生の皆さん、クラウドに力いれてそうな企業の面談で「クラウドやりたいです」って言ったりしてないですか?
入社後採用にも関わっていた経験のある僕からすると、0点です。
こいつ当時の僕と一緒だなって思っちゃいます。
なんでダメなの?
理由は二つあります。よく考えてみた上で、続きを読んでね★
解説します。
1つ目は「クラウドやりたいです」ってなんやねん問題
いや、やりたいってなんなの。
まずは最低限、この曖昧模糊とした「やりたいです」という言葉を、具体的な言葉に言い換えましょう。
ITサービスを作る時や、サービスプロバイダー/SIerとしてITサービスを売るときは、ざっくり言うと4つのプロセスが意識されます。
1. サービス戦略考案Phase (Service Strategy)
2. サービス設計Phase (Service Design)
3. サービス移行Phase (Service Transition)
4. サービス運用Phase (Service Operation)
読んで大体わかるかもしれないですが、少しだけ解説しつつ、何故「やりたい」だけじゃ適切じゃないか説明します。
1. サービス戦略考案Phase (Service Strategy)
企業には大抵、中期経営計画などといった、会社の発展に向けた計画があり、それに基づいてビジネスが進められます。
このPhaseでは、そのような経営戦略に基づいて、自社ITや商材としてのITサービスに関するIT戦略をたて、どんなサービスを作るか・買うかを決めていきます。
何もないところに、クラウドという言葉有りきで、このPhaseに入り込むことは大変危険です。
あくまでクラウドは手段であり、"クラウドがやりたくてこの会社に入ったからクラウドなんだよ!!" なんてこのPhaseでは言ってられません。
既にクラウドが強い会社に対して、クラウドの機能拡張や拠点拡張やマーケティングに入り込むというのはありです。ただし、後ほど述べるそのクラウドの強みについては必ず研究した上で発言しないと撃沈します。
2.サービス設計Phase(Service Design)
ざっくり、サービスを作るフェーズだと思ってください。
開発部隊として技術検討するのも、サービスとしての約束事や仕様を決めるのもこのフェーズに含めます。
「そうそう、クラウド作りたいからここだよ!クラウドやりたいってここのことだよ!」ていう方。以下の何をやりたくて言っていますか?
・仮想サーバを立てるための仮想化技術
・お客様データを保管するためのストレージ技術
・設備やお客様に関する重要データを管理するデータベースの技術
・お客様に提供するGUIを作る技術
・PaaS部分(わかんない人は前回記事みてね)に関するなんらかの技術
・お客様との約束事を作る技術
元々特定の技術に強い人や中途採用の人の場合は、ある技術ピンポイントで刺しに言ったりしますが、"なんとなくクラウド技術やりたいです!!"って言ってたら撃沈します。"クラウド技術"なんてものはないのですから。
3.サービス移行Phase(Service Transition)
サービスを使い始めるための移行行為です。
あまりイメージ湧かないかもしれないので少し例をあげます。
例えば、今まで会社メールとして yahooメールを使ってた企業が、今日からgmailにかえます、とするとき、どうやって移行するかを考えて移行していくPhaseです。この例でいうと以下のような行為が必要になります。
・移行計画をたてる
・Gmailのアドレスを取得する
・yahooメールで既に繋がっている人たちにgmailのアドレスを周知する
・ホームページ等に記載しているアドレスをgmailのものに書き換える
・一定期間は念のため、Gmailもyahooメールも両方見る期間を設ける
・yahooメールに送られた場合、自動で「gmailに送ってください」と返す仕組みを導入する
・yahooメールに間違って送られる数が十分に減ったことを確認して、yahooメールを廃止する
メールひとつとってもこれだけ大変です。これが会社の大きなシステム等になると一つのプロジェクトになるほどの大きな作業になります。
さて、"クラウド移行をやりたいんです"。
うーむ、そういう人はあんまりいないですね。クラウドを含めたシステム全体を行うことはありますが、"クラウド移行だけやるううう"ていう人は少ないです。
こういうのをクラウドマイグレーションと呼んでいて、確かに一定の需要があり、それをビジネスにしている会社もあったりするのですが、クラウドを含めて色んな事業をやっている会社の新卒採用で、そのアプローチする人はあんまりいないかもですね。
4.サービス運用Phase (Service Operation)
ざっくりいうと、本番環境になったITを、安全にかつ安定して使える状態に維持する行為です。
例えばWebサーバ(わかんない人はこの記事 )の運用を例にしてみましょう。
そのWebページはネット通販のページで、会社の収益の8割がそこから入るとします。さて、Webページがサイバー攻撃にあい、ページが参照できない状態になりました。さぁどうしますか。
こういうときにさっと状況を切り分け、対処する部隊が運用部隊です。
ITシステムを確実に使える状態に保つことを目的としたPhaseとなります。(今のはほんの一例ですが)
今の例だとネット通販ページで売り上げや会社の信頼性に直結した事象なのでイメージしやすいかと思いますが、それ以外でもITシステムの運用は事業継続性(BCP)に直結します。
運用Phaseは重要ですが、個人的意見としてはある一定の基準を満たすための最適化行為だと理解しています。クリエイティブなアウトプットを出すものではなく(過程でクリエイティブな手段は出てくると思いますが)、かつコストと知識が必要な割には利益をうまない。
なので最近は運用を専門とした会社や、サービスを買っている会社に外部委託する風潮がありますね。
さて、このPhaseで"クラウドやりたい"人。うーん。
クラウドの運用だけ考える人よりは、クラウドを含めたIT全般の運用を考える人の方が必要とされているので、新卒にこれを求めている会社は少ないかもですね。
上述のように、ざっくりと「やりたいです」だと返り討ちにあいます。
どのPhaseで、何を、何故したいかは整理しておきましょう。
2つ目は、クラウドやってる会社なんていくらでもあるわ問題
クラウドなんて、名だたるIT企業は大体やってます。
適当に調べて、なんとなくこの会社クラウドも力入れてそうだから「御社でクラウドやりたいんです!」なんて言うたらなんで「うちなの?」って言われて終了です。
同業他社との比較はするけど、どういう風の吹きまわしでその会社がクラウドやることになったんだという背景は調べておきましょう。調べる観点と、色んな会社がクラウドをやりたがる理由は下に書いていきます。
何故どの企業もこぞってクラウドをやりたがるのか
前回記事に記載した通り、クラウド化というのは、今まで手元でやっていたことを、遠隔に置いて、所有から利用へシフトすることです。
それを成し遂げるには、色んな技術が必要とされます。だから、色んな会社が自分の強みを起点したクラウドを沢山世の中に排出しているんです。
就活もそうですが、売る立場や企画する立場になったときも、この起点の理解は最も重要となります。
クラウドを提供している会社を、各会社の起点技術で分類した図は以下になります。(筆者の独断)
それぞれのクラウドサービスの推し方も、起点に結びついていることが多いので、クラウド推しの企業を受けるときは、そのサービスの強みぐらいはちゃんと把握しておきましょう。
伝え方一発で見抜かれる
"クラウドやりたい"と漠然と言って終わる人は終わりです。一発で薄さが見抜かれます。
最低限、「御社の○○という強みが、クラウド提供の上でも要(かなめ)になっていると思います。それを生かして○○ができると思うから(やりたいから)、御社を志望します。」といったように、クラウドというサービスと、あなたが必死で研究しているであろう企業の強みをちゃんと結びつけてやりましょう。
「どの工程をやりたいの?」と言われた場合も、上の図を意識して、ちゃんと自分の言葉で具体的なイメージをもって語れるようにしましょう。
以上、今回は就活に寄った記事でした。要望や感想があれば、コメントをお願いしますね。