【データセンタNW】Cisco ACIについて①
どうも、Keiです。
最近AWSネタばかりだったので、今回は久しぶりにネットワーク(以下NW)について取り上げてみたいと思います。
特に、今回はデータセンタ内ネットワークなどのインフラ技術として注目を集められているCisco ACIについて話していきます。
まず、Cisco ACIって何?って方もいることかと思います。
そのため、今回はブログを2回に分けて書いて行きたいと思います。
第1回である今回はCisco ACIとは?という所から、Cisco ACIを理解する上で避けられないファブリックという概念を紹介します。
第2回では、ファブリックを使って柔軟なSDNソリューションを実現するACIのメリットについて書いていきたいと思います。
クラウドに適したNW
さて、第1回の冒頭ではCisco ACIが登場した背景から説明します。
普通の方なら、ネットワークといえばL2スイッチ、L3スイッチ、ルータから構成された一般的なネットワークを思い浮かべるかと思います
そして、そこには無線ルータやハブ経由でご家庭のPCやスマホが接続したり、企業NWならサーバが接続されますよね。
今までなら、これで良かったんですけどね。
一方で、皆さんがご存知のように昨今はクラウドが世界中で展開されています。
非常に完結に言うと、このクラウド化によるネットワークの使い方だったり、トラヒックの流れ方が変化したことにより、従来のネットワークでは非常に無駄が多くなってしまったため、クラウドに適したネットワークの仕組み「Cisco ACI」が誕生したのです。
もう少し詳細に説明しますと、クラウド以前の環境ではご家庭のPCからインターネットのサーバにアクセスしてた状況が、インタネット間の通信が増加しているという状況です。
もっと言うとデータセンタ内のVM間の通信が増えたという状況です。
VMも物理サーバと変わらずIPアドレス、MACアドレスを持つので、通常VM間で通信する場合はVLANみたいな形で似たシステム毎にVLANを切って接続するのが常です。
一方で、VMは仮想化の特徴を持っているため、物理サーバとは異なる性質があります。その代表的な特徴として、VM Wareのvmotionのように、VMを停止させずに物理ホストを移動させることができることです。
利用者にとっては非常に便利なこの機能ですが、従来のネットワークではこの速度には対応できません。スイッチやルータを組み替えてVLANの設定を変更して。。と非常に面倒ですし、手動だし。。。ということになってしまいます。
このように、クラウド化が進むとネットワークもクラウドに合わせて進化する必要があります。
Cisco ACIはこのようなクラウド化に伴うネットワークへのニーズによって生まれたNWサービスなのです。
Cisco ACIを支えるVXLAN技術
さて、前のトピックではCisco ACIではVMなどの仮想デバイスの物理的な構成変更にネットワーク側もハードウェアの設定(スイッチのVLAN設定やルータの設定)を変更せずに対応可能という話をしました。
これを実現する技術がVXLANという技術です。
名前はVLANに非常によく似ていますね。実際、VLANのような役割も持っています。
一方で、VLANはあくまでスイッチで設定する物理に近い技術ですが、VXLANはよく「Layer2 over Layer3」と言われるオーバーレイ技術です。
知っている人はわかるのですが、知らない人はここで一気についていけなくなると思います。
「Layer2 over Layer3」を知るには、先にVXLANで具体的に「何」が可能になるかを言った方がいいかと思います。
ずばりVXLANで可能になることは「L2延伸」です。
例えば、あるオンプレ環境があり、これをクラウドに持っていく際にシステムの制約から異なる2つのデータセンタにサーバを配置する必要があるとします。
ここで、オンプレ環境でL2で接続していたVM同士が別々のクラウドに分かれることで、L2での接続はできなくなります。
そのため、オンプレで使用していたIPアドレスは使用できなくなりますよね。ここで、IPアドレスは様々なシステムに波及する可能性があるため、なるべく変更したくないものです。
そこで、どのようにするかというと図でいうデータセンタAとデータセンタBをL2で結ぶ(L2延伸)ことをします。
この技術はいくつかあるのですが、VXLANはこれを可能にします。
VXLANはL2フレームをL3ヘッダ(VXLANのプロトコル)でカプセリングします。
例えばデータセンタAのVMからデータセンタBのVMに送信されたL2フレームはVXLAN対応の装置によって、L3のカプセリングが行われます。これによって、送り先のIPアドレスはデータセンタBのVXLAN対応ルータとなります。
後は、カプセリングされたデータは普通にルーティングされ、データセンタBのVXLAN対応ルータに届きます。ここで、L3ヘッダは取り除かれ、L2フレームが取り出されます。
このように、L3ネットワークを超えてL2フレームをやりとりすることを可能にするため、VXLANは「Layer2 over Layer3」と呼ばれます。このようなアンダーレイの物理ネットワークに依存しない形態をファブリック、またはIPファブリックといいます。
VXLAN対応が取り付ける、L3ヘッダにはVXLANのタグが含まれますが、これがVLANでいうタグに当たるものです。これによってどのVMに渡せばよいかを判別しています。
このタグは、L2、L3の上にオーバレイとして設定しているので物理的なスイッチやルータを変更する必要はありません。
これが、従来のネットワークにはなかった柔軟性がVXLANにある理由なのです。
さて、今回はCisco ACIを支えるVXLAN技術について紹介をしました。
次回はCisco ACIのファブリック以外のコントローラ部分について、ユースケースとともに紹介をしたいと思います。
それでは!