IT社員3人組によるリレーブログ

某IT企業に勤める同期3人が、日常で思ったことを記録していきます (twitter: @go_mount_blog)

イケてない企業が働き方改革やったとて

どうもITコンサルタントのShoheiです。

今日は新テーマ、働き方改革についてお話ししたいと思います。

今回は具体的なIT技術の話に入る前に、その前段のお話を。 

 

最近ホットな働き方改革(Work Style Inovation)

最近よく耳にしませんか?

 

それもそのはず。

今年の国会で働き方改革法案が可決され、今から国レベルでこの取り組みに力をいれようとしています。

 

エン・ジャパン株式会社が2017/5に発表した「働き方改革」のアンケートによると、以下のような結果が出ており*1、アンケート対象となった471社のうちの6割程度が、既に働き方改革の取り組みを進めていることがわかります。

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さてところで。

働き方改革ってなんでしょう。

厚生労働省のサイトで掲げられている主なテーマは以下です*2

 

 

 

賃金引き上げ、柔軟な働き方など、キラキラしたワードが目に入りますね。

詳しくは厚労省のページを直接見ていただきたいですが、この中でITが大きく絡んでくるのは「柔軟な働き方がしやすい環境整備」のところですかね。

 

 

古い企業の空回り

この取り組みを進めるにあたり、企業のお偉いさんの中では、「ええい!こういうときこそボトムアップじゃ!!社員を集めてアイデア出しをするんじゃ!! (若手の意見を取り入れる風通しのいいクールな職場だろ?)」と、社員を集めたアイデア出しの場を設定するところもあるかと思います。

 

ただ、働き方がイケていない企業が、イケていない文化のままこういうことをすると、結局以下のようなアホみたいな事態が発生し、無意味と化します。

  • 目的が不明確なまま議論を始めて発散して終了
  • 打ち合わせの場で結局みんな内職し始めて話を聞かない
  • 結局しゃべりたいだけの老害ゴミ社員があれこれ喋って終了
  • 結局次のアクションが見えない

 

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働き方改革を見据えたIT議論の前に、諸々整理すべきことが

実は最近、働き方改革関連のITコンサル業務を持つことも増えています。

ただ、働き方改革にはITの話だけでなく、社内規則や評価制度の話など色んな要素が絡んでくるので、

なかなか情報システム部のお偉いさんだけで決まるような話じゃなかったりするんですよね。

実際同じ会社でも、話す相手は情シス部長、セキュリティ部部長、経営企画部長、人事部長、社長など幅広くお話しさせていただいています。

 

 

働き方改革を議論する前に、会社として目指す姿を描いて全体最適となる設計を進めた上で、IT議論に持ち込まないと、出戻りが多くなります。

目指す姿が不明確なまま、ただのツールでしかないIT周りの話を進めても、「あれ結局?」となるのです。

 

上述のようなディスカッションをするにも、ある特定の部署に限らない議論にするとか、確実に社長なり経営層に意見が伝達されるような仕組みなり有能な取りまとめがいないとカスと化します。

 

働き方改革の目的は?

じゃぁ働き方改革の目的、目指すべき全体方針ってなんなの?

これについてはそんな意識がずれるようなポイントではないと思いますが、僕はもし一言で表すなら、社員の働き方を変えることで、"社員の生産性をあげて会社の利益を向上させること"、これに尽きると思っています。生産性をあげるための手段や過程は以下のようにいくつかあるかとは思いますがね。

  • 仕事の無駄をなくして業務効率を上げることで、生産性をあげる
  • 多様な働き方を認め、雇用機会を広げることで、生産性の高い優秀な社員を確保する(優秀な女性が子育てを理由に辞めてしまわないように家から働けるようにするとかね)
  • 多様な働き方を認め、社員のストレスを軽減することで、生産性を上げる(通勤なくすとかね)

ここで意識すべきは生産性 〜タイムマネジメント時代は終わった

ここまでは意識ずれないのですが、生産性の理解とその高め方の点で、イケてない企業が古い考えを捨てきれず、改革ができずに終わるのだと思います。

 

生産性の理解。何がずれていると僕が思うかというと。

 

例えば、流れ作業で、とにかく単純作業をする人手が必要だった昔の工場勤務の場合、生産性/生産量は、ほぼ働いた時間に依存しました。

だからこそ、昔の文化では給料、ひいては人事評価は、時間で管理(タイムマネジメント)すればよかったのです。

なぜなら、多少の個人差はあれど、働いた分だけ製品を生産している、会社に貢献していると言えるから。

 

ただ、今はどうでしょう。

時間さえかければ生産量が高まる仕事なんてほとんどなくないですか?

単純作業はほぼほぼ自動化され、いまはよりクリエイティブなアウトプットに仕事の価値を置かれる時代になっています。

ぼーっとしながらでも時間さえかければ会社の望むアウトプットが出せる時代ではなくなっています。

それにも関わらず。いまだに残業時間等で給料が決まるの、おかしいと思いませんか?

 

似たような話は僕が好きな本にも書かれていて、まさにその通りだと思います。ここにはストレスマネジメントの話も入っていますが。*3

 近年、うつ病の人などが増えているのは、ワークライフバランスが声高に叫ばれる中、いまだに社会がタイムマネジメントを中心にまわっていて、ストレスマネジメントが全然できていないからです。たとえば、残業を禁止して、形式上22時までに帰宅すればいいというのは明らかにおかしい。

 時間で区切るからストレスマネジメントが機能していないのに、また時間で区切り直してどうすrんだ、という話です。

 

話を戻して、この働き方改革を考える上でも、このようなタイムマネジメントによる古い考え方をかえずに進めると、いつまでたっても生産性を高めるための改革にはたどり着けない思います。

そして残念ながら、その古い考え方を捨てられていないが故に、働き方改革の議論をする際に以下のような意見がでるのです。

  • 家で働かせるようにすると、ちゃんと勤務時間に仕事しているか管理しずらい。PCのログで監視できるようになっているのか
  • 午前だけ自宅勤務を許して午後出社する場合、途中の通勤時間は勤務時間に入るのか

なんかもう、笑えてきますよね。haha!!

働き方改革という、手段に入る前に、まずは考え方改革を経営層レベルでした方がいいんじゃないでしょうかね。

 

まとめ

働き方改革についてお話ししました。

働き方改革を進めるには、IT部門のみならず様々な部署を巻き込んで全体最適な図を描いた上で進めるべきこと。

それから、生産に結びつく指標が、時間ではなくなっていること、について説明しました。

 

最後に、引用した本を載せておきます。

この本はかなり面白かったです。

 

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

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