Gartnerのハイプサイクルから見るIT新技術のトレンド~ビッグデータの流行りは終わった~
どうもkoheiです。
秋も深まってきました。
先週、IT調査会社のgartner japanが日本におけるテクノロジのハイプサイクル2018年が発表されました。
今回はこの記事を基に、IT業界の流行りについてみていきたいと思います。
ハイプ・サイクルって?
wikipediaにのってました。
ハイプ・サイクル(英語: hype cycle、ハイプ曲線)は、特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図である。ガートナー社がこの用語を造り出した[1]。
あんまり聞いたことないなって思ってましたが、それもそのはず、ガートナーが生み出した言葉でした。
ハイプサイクルは次の5角段階から構成されるそうです。
黎明期(技術の引き金、Innovation Trigger)
流行期(過剰期待の頂、Peak of Inflated Expectations)
幻滅期(幻滅のくぼ地、Trough of Disillusionment)
回復期(啓蒙の坂、Slope of Enlightenment)
安定期(生産性の台地、Plateau of Productivity)
このハイプサイクルを通すことで、世間的に期待の集まっている新技術をピックアップしたり、幻滅期に入り世間的にしぼんでいく技術がどれなのかを確認することができます。
「うちの会社で最近○○について導入を検討してみたけど、もう幻滅期やんけ!トレンド遅れてる!」
とか、
「お、最近聞いたあの会社、これから期待できる技術もってるな。もう少し話聞いてみるか」
とかいう判断基準になるわけですね。
もともとガートナーがこれを作り出したのも企業が最新技術を取り入れるべきか否かの判断材料の一つとして利用するためだと言われています。
ただ一点注意ですが、もちろん幻滅期に入ったら技術的にオワコンというわけではないです。幻滅期、回復期のものこそ、技術的に安定しつつあるものという捉え方もできます。まあ、そもそもガートナーが勝手に決めてることなので一つの参考情報程度です。
ただ調査を仕事にしているだけあって、それなりによく調べられてるんじゃないかなぁと思います。
ではさっそく、ハイプサイクルについてみてみましょう。
ガートナー社のニュースリリースより、ハイプサイクルの図を引用しています。
ビッグデータで盛り上がる時代は終わった
さて、このハイプサイクルですが、最初に目をつくのはやはり「ビッグデータ」が「安定期に入る前に陳腐化」とされている点です。
ここでいう「陳腐化」というのは、技術的に陳腐化していくというより、世間や企業の期待や関心の高さを示しています。
確かに、最近ニュースとかでも「ビッグデータ」って聞かなくなりましたね。単なる「データ」とかいう方が多い気がします。
おそらく、いわゆる「ビッグデータ」が当たり前になってそのデータを使って何をすべきか?という点に関心が向いているからだと思います。
そのほか、「人工知能」や「ブロックチェーン」についても、期待のピークを越え「幻滅期」に入ろうとしており、バズワード的な流行りから、具体的な利用検討にシフトしている様子も伺えます。
次に期待されるテクノロジー
細かいものがいろいろありますが、個人的な気になるポイントをピックアップ
1. IoTプラットフォーム/IoTセキュリティ
幻滅期に入っているIoTとは別に、これから期待として高まっているのがIoTプラットフォーム&セキュリティです。これはIoTが広まるときから懸念されていたポイントで、あらゆるモノがネットワークとつながった先に、それをどう制御して活用すべきか?かつ安全に扱うべきか?という課題が高まっているという事実を示しています。
IoTプラットフォームについては、IT業界だけでなく製造業からも開発提供する企業が出ており、今後競争がさらに激化していくことが予想されます。
2. 市民データサイエンス
これぱっと何かわからなかったんですが、、、調べてみました。
そこで見つけたのが、やはりGartnerの記事
Gartner defines a citizen data scientist as a person who creates or generates models that use advanced diagnostic analytics or predictive and prescriptive capabilities, but whose primary job function is outside the field of statistics and analytics.
これによると、市民データサイエンティストは、本業データサイエンティストじゃないけど、データ分析スキルを持つ人のことをいいます。
つまり、専門家でなくても一般的な人々がデータ活用ができるような環境が実現されることを言っているんですね。「データの民主化」と呼ばれるキーワードもあるように、誰もがデータを活用していく時代になっていく…ということですね。
3. AIOps
AIOpsの正式名称はAlgorithmic IT OperastionsともArtificial Intelligence for IT Operationsともいわれてます。これもGartnerが生み出した言葉のようです。
ちょっと前までのDevOps(開発と運用を一体化してソフトウェア開発を行う)に近いように感じますが、もう少しIT運用目線が濃くなっているように思います。
AIOpsの目指すものは、データに基づいてAIを使って人手を最小限にしたIT運用を実現することです。
例えば、自動的にリソースを監視してシステムの異常検知を行ったり、その結果に基づいて故障回復処理を自動的に行ったり、あるいは測定値に基づいてリソース制御を行ったり・・・というのを一元的に実現することが想定されます。
こうして例を挙げてみると、一つ一つは今までの自動化技術に思えますが、さらに踏み込んで人間の判断を機械に任せる部分にも入り込もうとしているんじゃないかなぁと思います。
AIOpsを実現するソリューションを提供する企業もいくつか出てきているようです。
OpsRamp
SaaSベースのIT運用管理プラットフォーム。AWS, Azure, GCPといったマルチクラウドに対応して、アラートやイベントの推論もAIを使って実現しているそうです。
Moogsott
機械学習をベースとしたSaaSソフトで、企業向けにマネジメントソリューションを提供しています。CiscoやYahooでも利用実績があるとか
まとめ
さて、今回はGartnerのハイプサイクルを基に、IT技術の期待やトレンドを追ってみました。まだまだ知らない技術もたくさんありますが、引き続き、特に新技術については、まだまだトレンドを追っていく必要がありそうです。
ではでは